トランプの戦略
2021-01-22


トランプは、
「既得権益」の上にあぐらをかいている連中によって、
収奪されてきた正当な利益を奪還したい、
という欲望を
不満を持っている人々の心奥から掘り起こし、煽り、
狂信的な信者を増やした。

このやり方は、大阪で維新の橋本が、
公務員を批判し、
日頃から公務員に不満を持っている層の代弁をして、
支持者を増やしたのと同じだ。

トランプも橋本も、人々のくすぶる怒り、不満にうまく火をつけた。
アメリカは暴徒と化した人々がたくさん現れ、やっぱり極端な国だと驚いたが、人々のトランプへの傾倒は共感はしないが推測はできる。
だが、トランプのカリスマ性は、トランプ教団の教祖までであるべきだったとは思う。
とにかく、あの扇動はうまかった。
最後は、隠れていた狂人ぶりが露呈して、ハッと我に返った信者もいただろうが。

維新の人気もこれに近くて、ちょっと怖い。
しかし、今のところ、暴走は止まっている。
若い人は、維新を革新だと思っている、と聞いて、革新の意味も変わったのだと改めて思う。
都構想を焦りすぎて、大阪市民は、何とかわけのわからないところの手前で踏みとどまれた。
しかし、維新は、相変わらず人気がある。
ポピュリズムの典型だ。

そして、こうしたトランプや維新の人気が、
ナチスの台頭と重なって見えてこわい。
じわじわと大きくなる。

バイデンになってようやく、平常に復した、という感じがする。
今後は、まともな政党政治の攻防になっていけばよい。
あるニュースでは、トランプとバイデン政権とは、この幕引きに当たって、裏で取引をしただろうと憶測している。
それが本当なら、トランプは弾劾されない。
弾劾なしを条件に、そろりとホワイトハウスを立ち去ることを受け入れたのではないかと。
トランプ教の信者は蚊帳の外なのだろう。
プアホワイトの怒りは反知性主義の波と結びついて、うまいことトランプに操られたと思う。

橋本にしても、トランプにしても、
人々の不満を掘り起こし、怒りに火をつける、というやり方で、
人々を扇動したのだが、
このパッションは怖い。
思想的賛同ではなく、激情に働きかけるやり方は危険だ。
橋本は、最近、テレビによく出ていて、
彼の言うことが全部いやだということではない。
他の政治家が言わないことも言っていて、各論では賛成できるところもある。
だが、最も重大なことを彼は自覚していなかったと思う。
自分の問題意識が大衆の中のネガティブな感情に届き、
激情として人々に共振し、
危険な波を生み出すことに。
「正しいことは何か」を考えるのではなく、
「自分は損をした」という怒りで行動する人たちが共振し合う事態だ。

政治は、感情で動かしてはならないのだと思う。
人々は、政治家の私利私欲が見えれば、もちろん、非難する。
「許せない」と思う。
だから、そこに訴えかけるように、葬り去りたい議員や切り捨てたい議員が「不正」を働いた、という発信は成功する。

しかし、頭に血をのぼらせていては、公正な判断はできない。

役所の窓口で、カウンター越しの担当者に暴力をふるうような
空しくて凶暴な行為に出るのではなく、
その背後にどういう構造が闇深く広がっているかを見抜けないと、
雑魚同志でいがみ合って傷つけ合っているのを高みの見物をしている者たちが、
相変わらず、この世の富をさらって豊かになるだけだ。

いい加減、目を覚ました方がいいのだが、
富を独占している連中は、
この世を動かす手段も権力も、もうとっくに手に入れている。
その手法は、人々に媚薬をかがせ、催眠術にかけ、一瞬のイリュージョンで惑わせるなど、実に巧妙なのだ。
[風景]
[考える・思う]

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