心因性、、、
2017-10-22


昔、職場で、ある人が、
左耳が聞こえない、ということを言っていて、
病院で診てもらっているのだが、原因がわからないと悩んでいた。
何年か、その人の左耳が聞こえない、という悩みを聞いていたが、
ある日、こう言った。
「Yさん(上司)がいなくなったら、急に聞こえるようになった」と。
その人は、Yさんのガミガミ声が辛く、
また、Yさんもその人にやさしい感じがなかったので、辛かったのだろう。

実は、私にも似たようなことがあった。
私は右耳が痛かった。ずっと痛んでいた。
若い頃、ある研究室で非常勤で働いていたのだが、
昔のことで、今のようなパソコンはない。
英文タイプを打てる人も、そう多くはない。
私は、時折、上司の手書きの英語論文をタイピングする仕事も頼まれていた。
上司は機嫌に変動があり、
気難しいところもあり、妙ににこやかな面もある、
なんだかわかりにくい、上品で声の小さなおばさまだった。
とにかく、皆、のびのびしていない。
緊張感で張りつめたような職場で、常にし〜んとしている。
出向している公務員の男性たちも、その上司と同室にいると息が詰まるのか、ほとんど席をはずして、
電算機(パソコンではない。大きなコンピューターだ。)の部屋に行ってしまう。
正職員の女性などは、顔が土色で、病気かと思うほど覇気がない。
当初、元気で冗談ばかり言っていた私も、
だんだん元気がなくなっていった。
タイプも頼まれる私は、
その上司と少し離れた電動英文タイプライター(フロッピーにファイルを保存するタイプで、当時、よそでこの手の機械を見たことがなかった)の前で仕事をするのだが、
その上司は、ささやくような声で私を呼ぶ。
上司の席は、右側だ。

それまでささやくように優しかった人が、急にヒステリックに怒ったことがあって、それ以来、私も委縮していた。
決め事がたくさんあって、ピリピリする。

やがて、右耳が痛くなって、時間ができたら病院に行かねばと思っていた。
が、仕事に行かない日は痛くない。
どうも、その上司のせいらしいと気づいた。

その職場は、午後3時になると、一番若い事務の女性職員が
皆にお茶を淹れてまわり、お菓子を配る。
あられやおかきの類が出ると、噛む音がしんと静まり返った室内に響きわたる。
皆、どうしているのか、丸のみしているのか、無音である。
友人に、
「おかきを丸のみしているから、私、今に胃をこわすかも」と言っていたほどだ。
弁当にキュウリはご法度。
噛むと部屋中に響くもん。
皆、隣の人に仕事のことで質問するのも、ささやき声だ。

こういう研究室の仕事というのは、主婦のパートとしては、上等なパートだ。
高学歴の主婦たちは、辛抱強くがんばって残っている。
が、直接、その上司の論文をタイピングする私は、狙い撃ちになる。
右耳が痛むわけ。
ある時もささやくように呼ばれたと思い、その上司のもとにとんで行った。
上司は、
「オホホホ」と笑って、「呼んでませんよ」と。

耳が過剰に反応していたのだ。
ある時、私が他の人と一緒に作業をすることがあった。
文書を封筒に入れる、というような単純作業だが、たくさんあったので、総出でその仕事をすることになった。
私は不器用なので、下手くそだ。
すると、私がその作業を始めたとたん、上司が、
「皆さんにも言っておきますが、時間が大事なので、効率よく仕事をしないといけません」とか何とか、言い出した。
M吉は、カチンと来た。
バンと立ち上がって言った。
「それは、私が仕事が遅いということをおっしゃっているのですよね」と。
上司は、急に、
「まぁまぁ」と私の背中をポンポンと叩き、
何か言いながら、「オホホホ」と笑いながら席に戻っていった。
ずっと後で、私より若い人が、

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